01.三つ葉の志 ~地域医療の再構築を目指して~

私たちが在宅医療を始めて丸3年が経ちました。この間、懸命に「在宅医療」と取り組んできました。

病院で研修医として働いていたころ、長期に入院し、家に帰りたいのに帰れないという患者さんにたくさん出会いました。 「何かあったらどうしよう」、この漠然とした不安が家に帰れない理由でした。 その不安を解決するひとつの方法として私たちが選んだのが、在宅医療を実践することでした。
 在宅医療を始めたときの想いは変わりませんが、3年間、三つ葉として在宅医療の場に携わってみて初めてわかったこともあります。 地域の患者さんを訪ねて回ることで、そこに暮らす人々、そこに携わる医療・介護関係者の皆さんから多くを学びました。

自宅で療養したい人に医療を提供することを目的として始めましたが、それ以外にも、 満足のいく「生き方」や「死に方」について考えていかなければならないということ、また地域医療の抱える課題なども見えてきました。

医療においては「地域連携」という言葉が盛んに語られるようになってきました。在宅医療にとって地域連携は大原則です。 しかし本当の意味での地域連携を実現するには、いろいろな側面から地域の医療について立体的にとらえていく必要があります。

超高齢化する社会において、在宅医療は財政の面からよく語られます。 しかし、個人が尊重され、一人ひとりが満足のいく人生を全うできるような地域医療をつくりあげていくためには、 財政面にとどまらず、介護の問題、医師と患者の信頼関係、相互扶助、価値観を含めた地域の情報共有といったことまで、 解決すべきことがたくさんあると感じています。それらに真摯に向き合うことによって地域医療の再構築が可能ではないかと考えています。

医療は、医学的な問題解決のツールであるだけではなく、社会システムを改善していく可能性を秘めていると信じています。 「在宅医療」を切り口として、私たちも社会に貢献していきたい……それが三つ葉の願いです。

私たちの見た在宅医療の現場、理想とする地域医療のあり方や、そこで働く人間として求められることなどについて、 少しずつまとめていきたいと思います。(2008年/舩木良真)