08.地域連携のかたち ~希望を支える・生活を支える・精神面を支える~

私たちの患者さんの主な基礎疾患としては、脳血管障害の後遺症、認知症、慢性呼吸不全、慢性心不全、膠原病、神経難病、がん末期、老衰などがあります。
 こうしたさまざまな疾患の患者さんを在宅で支えていくには、他の医療機関や介護事業者などとの連携を強化していく必要があります。 ただし、どんな病気かによって、その内容や連携する相手は少しずつ変わります。日常生活を続ける上で必要な身体の機能レベル(ADL)を軸に、いくつかのパターンを挙げてみます。

1)希望を支える ~脳血管障害、呼吸不全など
 脳卒中や心不全、あるいは呼吸不全といった疾患では、発作などにより身体の機能が大きく低下します。 しかし、その後の治療とリハビリテーションによって、ある程度の機能回復が可能であり、その間の医療は再発防止が主となります。 そして、療養上のテーマは希望を持ち続けることです。

ただし、現実的には再発を繰り返しながら徐々に身体の機能が低下していくことが多く、 また再発時の発作などによって病院で最期を迎えることが少なくないため、医師・看護師による医療的な関わりが重要な役割を持っています。 そのため、これらの病気に対する在宅医療では、病院との綿密な連携によって、患者さんとご家族の「希望を支える」必要があります。

2)生活を支える ~認知症、神経難病などの慢性疾患
パーキンソン病などの神経難病、認知症、老衰などでは、基本的に大きな機能回復が見込めないことが多く、小さな一進一退を繰り返しながら徐々に身体の機能が低下していきます。 ただし、このプロセスが非常に長期にわたるため、家族の介護負担が大きな問題となります。

どうやってトイレに連れて行くか、寝たきりにならないようにするにはどうするか、食べられなくなったらどうするか、 といったさまざまな不安が発生し、介護者が疲弊していきます。患者さんは、医療よりも介護の問題で、施設または療養型病院に長期入院するケースが多いです。

しかし、問題は疾病そのものではなく機能低下であり、「生活を支える」必要があります。 そのために、デイサービスやショートステイ、介護事業者との連携が重要なポイントです。介護保険によるサービスが主体となるためにケアマネジャーが重要な役割を担います。

3)精神面を支える ~がん末期
 がんの患者さんは、終末期以前に生活上の目立った身体機能の低下は見られないことが多く、終末期に至って大きく機能が低下します。 ただし、この期間が1カ月~2カ月と比較的短く、病院での治療よりも在宅において家族と過ごす精神的な満足を求めることが多くなります。 その際、本人にとっても、家族にとっても看護・介護の負担に加え、「死」をどう受け入れられるかが大きな課題となります。 死を受け入れるプロセスにおいて「精神面を支える」ことが重要です。

在宅で過ごす患者さんを支えるかたちは一つではありません。その疾患の特徴によって異なり、 さらに患者さんの希望や療養環境などによって患者さんの数だけかたちはあるといっても過言ではありません。 さまざまな条件を視野に入れ、周りと連携しながら、患者さんとご家族を支えていくことが大切です。(2008年/舩木良真)