01.新しいモデルの模索 ~持続可能な在宅医療をめざして~

在宅で療養する患者さんは「何かあったらどうしよう」という不安を抱えています。休日・夜間を問わず、容態が悪くなることがあります。 そんなとき、すぐに医師が相談に乗ってくれたら、来てくれたら――。この不安に応えられるかどうかが、在宅医療を実践するうえので大きな課題となります。

しかし、ひとりの医師が24時間365日の対応を、何年も継続していくのは難しいのが現実です。
 高齢化社会の到来で、日本の医療制度が見直しを迫られている一方で、人々の意識が向上し、医療への関心が高まり、 医療にも付加価値が求められるようになってきました。そうした中で医療界全体が疲弊し、とりわけ医師が疲れているといわれています。

24時間365日、変わらず質の高い在宅医療を提供し続けることができるなら、それは大きな付加価値になると思います。 持続可能な在宅医療を実現するために、私たちが選んだのが「グループプラクティス」という方式です。

グループプラクティスとは、収入および支出、医療設備や職員などを共有する3人以上の医師が提携して診療にあたるもので、欧米ではかなり一般的になっています。

アメリカでは、その発祥は19世紀後半にさかのぼり、技術の進歩で高騰する医療機器の共同購入、複雑な保険制度による経営管理業務の効率化などを、 ループで解決してきました。また、多くの臨床上の新しい試みはグループプラクティスの中で実績を上げてきたといいます。 近年では、個人開業医の数は一部の診療科を除いてかなり減少し、医学部を卒業した若い医師の4割以上がグループプラクティスにおいて研修を積んでいくそうです。

アメリカの医療制度や、開業医と病院の関係は、日本のそれとはかなり異なりますが、日本においてもグループプラクティスを導入するメリットは大いにあるのではないかと感じています。 特に在宅医療や、小児科・産婦人科といった現在、医師への負担が過重になってきている分野において大きなカギを握っているように思います。

医師がやりがいをもって働くことができ、かつ患者さんに安心していただけて、さらに日本の医療界や社会が元気になれるような、 そんなグループプラクティスのモデルを構築していけないか。その取り組みについて、これから数回にわたってお話していきたいと思います。

「まずやってみる。失敗したらそこから学ぶ」――そんな気持ちでチャレンジしています。皆様からのご感想やご意見などもお寄せいただければ幸いです。 (2008年/舩木良真)