08.数人寄れば文殊の知恵 ~リスクを回避する~

グループによる診療には、多くのメリットがあることをお話してきました。

主治医制に夜間・休日の当番制を組み合わせることで、24時間365日体制を実現し、医師も休みがとれるようになり、 精神面・体力面の健康を維持できるようになりました。これは大きなリスク・マネジメントになっていると思います。
 昨今の医療ミスの多くは、医師の慢性的な疲労が原因になっていると言われています。人手が足りず、夜間も休日も関係なく 長時間の労働を余儀なくされている医師が増えているなか、心身ともに充実している時ならば考えられないような間違いが起こり、患者さんに危険を及ぼすこともあります。

訴訟に発展するようなケースでは、技術的なミスが発端ではあっても、事を大きくしたのは医療者と患者さん・ご家族の間のコミュニケーションの問題であることも 少なくないと聞いています。医師の説明の仕方や、問題の処理の仕方に、患者さんが優しさや誠意を感じられないとき、事態は必要以上に悪化してしまいます。

医師が健康であれば、患者さんにも優しくなれます。良い判断を下し、良い手技を提供することができ、結果として患者さんの満足度も高まると思います。

また、困ったことがあったら同僚に相談することができます。わからないことがあっても、グループのだれかが答えを持っているかもしれません。 知識・知恵を共有するなかで、失敗例と改善策をも分かち合い、組織全体としてのリスクを下げることができます。

さらに重要な点として、グループのメンバーが診療面において、対等な立場でパートナーシップを組むことで、互いにチェックし合えるという側面があります。 各自が職業倫理に基づいて、懸命に患者さんに向き合っているとしても、ときには偏った判断を下す危険もはらんでいると思います。 そんなときも、互いにフィードバックし合うことで、診療の質を上げていくことも可能です。個人の間違いや偏りを防止する上で、非常に有効な機能だと考えています。

そして何より、グループのメンバーはつらい時にも助け合える仲間です。仕事をしていれば、患者さんとのことだけにとどまらず、いろいろな問題にぶち当たります。 心が折れそうになったときでも支え合うことで、困難を乗り切ることができます。お互いを尊重し合えるチームワークができ上っていけば素晴らしいと思います。 (2008年/舩木良真)