01.ITによる在宅医療の進化 ~情報技術がもたらす可能性への挑戦~

IT(情報技術)により、多くの人が欲しい情報を容易に入手し、さまざまな知識を共有できるようになりました。 さらにインターネットの普及や携帯電話の進化により、多くの人が手軽に情報端末を操作し、文字だけでなく音声や映像を共有できるようになりました。

その結果、多くの産業において、企業はそれまでに比べて消費者・生活者の視点をより強く意識するようになり、「顧客中心市場」が生まれました。
人々の働き方も変わりました。場所・時間を問わず情報の検索・入手・発信ができるようになったことで、オフィスでなくとも仕事ができるようになりました。 また一般の人でも簡単に専門的な知識を手に入れることができるようになり、単なる専門家ではなく、顧客との接点において高い価値を提供できる プロフェッショナルな働き方が求められています。

医療の世界でも、他の産業において起こってきた変化と同様のものが起こる可能性が高いと思っています。ITが大きな役割を果たし、 医師と患者さんの関係、地域との連携のあり方、医師の働き方、知識共有のあり方などが変化するかもしれません。

例えば在宅医療には、従来の病院医療を中心とした構造とは異なる特徴がいくつかあります。

  • 在宅医療では患家が街中に分散し、医療スタッフは常に移動しています。すべてが一カ所に集中している病院とは異なります。
  • 24時間365日「いつでもすぐに」という対応が求められます。
  • 病院では「治癒・延命」を目標とした医療が進められますが、在宅では生活を支える「患者さん中心」の医療が求められます。
  • 在宅医療は「コミュニティケア」であり、患者さんのご家族や介護スタッフなどの衆知を集めてより良いケアが提供されることを目指します。

これらの特徴を踏まえ、「最高の在宅サービスを提供」という私たちの理念を実現するために、頼りになるのがITです。 私たちはITの活用によって、医療の世界でイノベーション(革新)を起こしたいと、さまざまな面で取り組みを進めています。

ITは人間の体にたとえれば、血液(情報)を全身(組織全体)にいきわたらせる大動脈のようなものです。 私たちの理念を実現する可能性を秘めたITについて、少しお話したいと思います。 (2008年/舩木良真)