03.働き方を変えるIT ~クリニックを持ち歩く~

ITは医師の働き方を大きく変えました。
 診療情報を携帯用のパソコンに集約したことによって実現されたものが、大きく二つあります。
 一つ目は「場所を選ばない」ことです。

どこでも、そしていつでも診療情報を利用することができます。電子カルテは、患者さんや診療上の情報をすべて集約し、 参照用の医学知識まですべてを連動させたシステムになっています。このカルテを利用できるパソコンと携帯電話と車があれば、 いつどこにいても、診療所にいるのと同じように仕事を進めることができます。診療所のスタッフとの業務連絡も円滑に行っています。

結果として、患者さんを訪問した際にカルテの入力を行い、そこで診療の仕事を完結でき、また夜間・休日は自宅で待機し、 緊急コールのあったときに必要な情報をすぐに参照することで対応できるようになりました。

二つ目は「ひとりで診察が可能になった」ことです。

在宅医は患者さんの家から家へ、常に街の中を移動しています。看護師や事務スタッフの揃ったクリニックで診療するのとは異なり、 書類業務などいろいろな雑務が発生します。それらを可能な限り効率化し、スケジュールやタスク、物品の管理までもできる秘書的機能をシステムに持たせたことで、 医師ひとりで訪問診療に出かけても診療に専念でき、帰院後の書類業務なども減り、ほとんど残業をしなくて済むようになりました。

スケジュール管理は、「医師」を軸にした患者さんの診療スケジュール、「患者さん」を軸にした医師の訪問スケジュールとケアチームのスケジュールと、 目的別にいろいろな角度から参照することが可能です。

「診療サマリ」という機能では、一人ひとりの患者さんについて、病歴やこれまでの診療記録、ご家族や介護スタッフの情報などを一画面に要約しています。 患者さんの療養環境はイラストで示し、一目で要点をつかめます。また、わずか数分で紹介状や看護指示書、主治医意見書など他の書式に二次利用できるようになっており、 地域連携のための事務的業務が非常に簡略化できました。

これらを医師全員で利用できるため、グループプラクティスにおける情報共有という意味でも、大きく貢献しています。

場所を限定せず自律的に動けるようになり、医師が本来の医療に注力し、患者さんと接する時間が長くなったように思います。 また、事務作業にとらわれずに生き生きと働け、仕事の満足度が高まりました。

ITによって自由になれた、そう思っています。 (2008年/舩木良真)