04.コミュニケーション力を高める ~ITでより人間らしく~

在宅医療における目標は、そこに関わる地域の人々が情報を共有し、患者さんがより良い意思決定をできるよう“衆知を集めて”共に考え行動することです。 そのために誰が、いつ、どこで、どんな情報を必要としているかを判断し、的確な情報を瞬時に入手できるようにすることが大切です。 また媒体や表現方法は、相手に合わせて変える必要があります。
 ITを活用すると人間らしいコミュニケーションが減るのではと懸念する人もいると思います。また入力作業に時間がかかり、効率化には逆効果であるという人もいます。

ある意味その通りで、今までの仕事をすべてITで置き換えようとすると、そうしたことも起こり得ます。

また、情報を単にデジタル化するだけでは意味はないと思っています。ある目的を達成するためには、そのコミュニティにおいて、 異なる価値観を持つ人が「知」を共有し、共に新しい価値を生み出す「場」が必要です。ITは、その場を可視化するための道具にすぎません。

ITを本当の意味で活用するためには、コミュニケーション能力の向上と感性を高めていくことが求められていると考えています。

私たち医師においては、医学的知識や経験を積む中で得たノウハウなどを蓄積して、必要な情報を簡単に検索できるようになったことで仕事の効率化につながりました。 さらに電子カルテを活用し、基本情報を共有しているため、医師同士のカンファレンスでは深い議論を交わすことができます。

組織としての知恵を一つに集約し整理したことで、患者さんとのコミュニケーション方法や診療技術が向上し、クリニックの運営面で大幅な改善ができました。

地域の人々に温かい血の通った医療を提供し、私たち医療・介護に関わる人間がやりがいを持って取り組むために、ITを活用していくことが、 いま求められているのではないでしょうか。(了)(2008年/舩木良真)